副業

【2020年版】AdSense収益の税金と確定申告

AdSenseで次第に収益が上がってくると、気になるのが納税と確定申告ですよね。

ブログにコンテンツを書いたり、SEO対策を駆使したりと、さまざまな努力をコツコツ積み重ねた末、ようやくつかむことができるAdSenseの収益、売上。そうすると気になってくるのがAdSenseに関する税金の問題です。そろそろ納税や確定申告が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ことAdSenseと税金に関して最も多いのが、会社勤めの方からのご質問やご相談です。つまり、副業として得た収益に対する納税についてあまり知識が無い方が多いようです。普段会社にお勤めの方は、基本的には住民税や所得税などあらゆる納税義務は会社を通じて行うため、当の本人は関与する機会がありません。(イメージとしては、明細を見て事後的に納税額を確認するくらい、でしょうか。)

そう、普通の会社員であれば、納税と言ってもなかなか手触り感がないのです。私もかつて同じ立場でしたから、お気持ちがよくわかります。

ただし、注意してください。最も危険なのは「なんとなくよくわからないから放っておいた」という状況です。そう、意図せぬ脱税になりかねません。言うまでもなく脱税は違法です。意図せぬ脱税は誰しも避けておきたいものです。

さて、この記事は個人的な備忘録を兼ねて書いていますが、AdSenseで収益を上げはじめたAdSenseビギナーの方にとってもきっと役に立つ内容になっていると思います。課税対象となるAdSense収益の計算方法や、費用と納税額の関係、さらには費用管理をかんたんにするためのコツなども書いておきます。

税理士に直接相談してみた結果についても触れる予定ですので、極めて実践的・実用的なガイドラインになるはずです。AdSenseで得た収益に対する納税や確定申告が気になっているという方はぜひ参考にしてください。

ちなみに皆さんは順調にアドセンス収益を伸ばせていますか?

本題から少し逸れますが、ここでGoogle AdSenseで安定的に収益を上げるための必読書をご紹介しておきます。私もこの本を読んでアドセンス収益が劇的に向上しました。

じっくり精読して基本をマスターすれば10年先でも安定的にAdSenseで稼ぐことができるようになるはずです。


Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]

コツコツとAdSenseで稼ぎ続けるためにぜひ一読をおすすめします。

それでは本題に戻り、「AdSense収益の税金と確定申告」について見ていきましょう。

いくらの収益から納税を考える必要があるか

ブログをコツコツと更新し、AdSenseによって月数千円の収益が上がってきたとします。この時納税を意識すべきでしょうか?「まだまだ年間20万円未満のレベルだから税金は考えなくて良い」とよく聞きますが、これは本当でしょうか?

答えは、たとえどんな金額であってもAdSenseから収入があったら申告が必要です。このあたりはまだまだ誤解されていることが多く、年間20万円未満であれば税金のことは考えなくて良い、といった情報もありますが、それは間違いです。

国税庁のホームページを確認

20万円の誤解、それはどこから来ているのでしょうか?税金を管轄している国税庁のホームページを確認してみましょう。

No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

[平成29年4月1日現在法令等] 大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告をしなければなりません。

1.給与の年間収入金額が2,000万円を超える人 2.1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人 3.2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人 (注) 給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。

4.同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人 5.災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人 6.源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人 7.退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人 出典:国税庁ホームページ

2.に「給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」という表記がありますね。これは言い換えると「20万円を超えない人は確定申告は不要」ということと同義です。確かにこの表記だけを読むと20万円以下の場合は確定申告をしなくても良さそうです。

ただし、です。「確定申告をしなくても良い=納税義務がない」ということではないのです。いったいどういうことでしょうか?

20万円未満でも「住民税の申告」は必要

AdSenseやアフィリエイト収益において、20万円未満であれば確定申告は不要ですが、納税義務はあるということを理解しましょう。分かりやすく整理すると、次のようになります。

そうです。AdSenseによる所得が20万円未満であっても、住民税の申告は必要です。ではなぜ国税庁のホームページにはそのような記載がないのでしょうか?答えは「住民税は国税庁管轄ではないので記載されていないだけ」です。

つまり、年間20万円未満の収益であっても税金のことは考えなければなりません。これが冒頭で紹介したようにたとえどんな金額であってもAdSenseから収入があったら申告が必要」と書いた理由です。

ここまでご覧いただくと、20万円という金額がひとつの境界線であることはおわかりいただけたと思います。ではその20万円とは何なのか?そう、AdSenseからの銀行口座に入金があった金額のことなのか、費用を引いた残りの金額なのか、そのあたりを確認しておきましょう。

雑所得の考え方

AdSenseやアフィリエイトなど、会社員の方が副業として得た所得額は主に雑所得と呼ばれます。

会社員の雑所得20万円の考え方

さきほど20万円という数字が出てきましたが、この20万円とは所得額(雑所得)のことです。所得額(雑所得)は「実際のAdSense(Google)からの入金額から、必要経費となる費用を引いた金額」のこと。所得額=利益額とイメージするとわかりやすいと思います。

したがって、1年間にAdSenseから25万円の入金があったケースにおいて、経費が4万円の場合は、所得額は21万円(25-4)となるので確定申告が必要です。

一方、経費が6万円の場合は、所得額は19万円(25-6)となるので確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要となります。

雑所得を計算する方法

確定申告や住民税の申告をするためには、雑所得の計算が必要です。いきなり確定申告の方法を調べるのではなく、まずは正しく雑所得を計算しておくことで、のちの申告書への記載が楽になりますので、まずは計算方法を見ていきましょう。

AdSense入金額の計算方法

ここもよく計算を間違える方がいるので要注意です。いくつか注意点を見ていきましょう。

1.計算対象は1月から12月

例えば2020年春に確定申告や住民税の申告を考える場合、計算対象となるAdSenseの売上は2019年1月から12月までの分です。(年度と混同して2019年4月から2020年3月と誤解しないように注意してください)

2.入金タイミングがずれる

AdSenseの支払いサイクルは、通常次の通りです。

・当月3日頃に前月収益金額が確定

・当月22日頃に前月収益金額が入金

したがって、例えば2019年の1年間の収益金額が実際に振り込まれるタイミングのは次のようになります。

売上 入金タイミング
2019年1月分 ※ 2019年2月22日頃
2019年2月分 2019年3月22日頃
2019年3月分 2019年4月22日頃
中略
2019年11月分 2019年12月22日頃
2019年12月分 ※ 2020年1月22日頃

※注意が必要なのは1月分と12月分です。

つまり、当年2月から翌年1月の入金金額が当年1年間のAdSense収益ということになります。収益を計算する際に間違えないよう、十分注意してください。(あとから紹介するネットバンキングでの収益管理を徹底すると、この集計は格段に楽になりますよ)

続いて、経費について見ていきます。

経費と認められる費用

当然のことですが、AdSense収益に対して経費が大きくなればなるほど、所得額(収益 − 経費)は小さくなります。税金はこの所得額が大きくなればなるほど高額になるため、経費が多いほうが納税金額は小さく抑えることができます。

なので、「出来る限りいろんな費用を経費として計上したい」と考えるかと思いますが、当然なんでもアリではないので注意しましょう。経費として認められる費用についてネット上ではいろんな情報が飛び交っていますが、一般によく言われているものを紹介しておきます。

ドメイン費用

サーバー費用

WordPressなどのデザインテーマ購入費用

はてなブログPROなどのサービス利用費

ブログ運営に関連する書籍購入費

インターネットプロバイダ費用

スマホ料金

PC購入費用 などなど。

ブログ運営でAdSense収益を得ている人にとっては、どれも欠かせないものばかりですので、いずれも費用として認められそうな印象です。しかし、経費として認められるか否か、実態はもっと曖昧な部分が多いです。

経費の線引は曖昧。迷ったら相談

例えば、書籍代。1年間に購入した書籍のうち、いったいどの書籍代までが経費として認めらるのでしょうか?WordPressでブログを作るためにWordPress入門書を購入した場合、その書籍代は必要経費として認められそうな印象を持ちますよね。では、中国の歴史に関するブログ記事を書くため、その資料として漫画「キングダム」を購入した場合、これは経費として認められるでしょうか?娯楽的な要素が強い漫画だと、その境界線が曖昧になってきます。

同様に「インターネットプロバイダ費用」や「スマホ料金」も、どこまでがブログ運営に利用した分で、どこからがプライベートな利用分なのか、詳細に時間や料金を計測しているわけではないので、線引が非常に曖昧です。ではどうしたら良いのか?

正直に言って、このあたりは判断が分かれるところです。判断に迷ったら税務署や税理士などの専門家に都度相談して確認することをおすすめします。

経費に関する2つのポイント

所得額(雑所得)の計算に関する内容の最後に、経費について重要な2点を書いておきます。

1.領収書は保管しておく

経費の候補になりそうな出費については、必ず領収書を保管しておきます。1年間通じて保管し、翌年の収支計算の際に経費として計上したものはファイリングしておき、計上しなかったものは廃棄します。

2.収支計算の記録を残す

AdSense収入と経費計上した費用(内容と金額)は、エクセルやGoogleスプレッドシートで記録しておきましょう。これは、後から税務署から調査が入った場合に、どんな考え方で所得を計算し、申告したのかを確認できるようにするためです。もしこの記録がないと、税務署からのツッコミの際に具体的な計算方法を示すことができないため、申告内容に対して疑われてしまいかねません。自分を守るためにも必ず記録するようにしましょう。

さて、ここまでの内容を参考に収入と経費を集計し、所得額(雑所得)を計算しておけば、あとは申告手続きを行うのみです。

続いて実践的な納税方法について解説していきますが、ここでは会社勤めの方(1社から給与所得を受け取っている)が副業ブログでAdSenseから得た所得額(AdSense入金金額 − 経費)が年間20万円以上あった場合を想定して解説します。つまり、確定申告が必要なケースとなります。

確定申告に必要な書類

いざ確定申告をする場合、いくつか必要な書類があります。その書類は、大きく2つに別れます。1つは自分が勤めている会社からもらうもの、もう1つは自分で準備するものです。

会社に準備してもらうもの(会社員の方)

勤めている会社からもらうべき書類は、源泉徴収書です。これは確定申告には欠かせませんので、必ず受取り大切に保管します。

自分で準備するもの

一方、自分で準備する書類は、申告書です。申告書は国税庁のホームページから作成することができます。注意が必要なのは、書式がAとBの2種類あること。会社員サラリーマンの方が副業AdSenseを元に得る雑所得に対してはA様式の申告書を使いましょう。

不要な書類

確定申告に提出不要もあります。書類は次の通りです。

・収入金額を証明する書類は必要ない

・経費計上した費用の領収書は提出不要

意外に思われるかもしれませんが、AdSenseの収入金額や経費を証明する書類は提出不要です。それぞれの金額を申告書に記載する必要はあるものの、原本は手元に持っていればOK。しかし油断は禁物!将来申告不備などの指摘が入る可能性もありますので、経費の内訳は記録を残し、領収書も保管しておくことをおすすめします。

収益と費用を簡単に整理するためのコツ

ここまで納税の基本的な仕組みやAdSenseの収益、経費の対象になる項目について見てきました。ここからは収益と経費を簡単に整理するためのコツをいくつかご紹介しておきます。

AdSense収益の振込先はネットバンキング

まず結論からです。AdSense収益の振込先はAdSense専用のネットバンキング口座にしておくこと。これが大事です。AdSense専用と書いたとおり、給与振り込みや公共料金の引き落としなどで使用していない口座が望ましいです。なぜなら、AdSenseの収益を集計する際、過去1年分にまで遡って入金記録を追う必要があります。この際、1年間を通じた出入金の記録が数百件もあると、AdSense収益の入金記録だけを選り分けるのにひと苦労。AdSense専用の口座であればそのような面倒な選り分け作業は不要ですので、楽ちんです。

また、ネットバンキングであることも大切です。過去の取引履歴(この場合はAdSense収益)を検索したり、CSVで一括ダウンロードすることも可能です。検索性と管理性を兼ねているのがネットバンキングです。個人的なおすすめは、ジャパンネット銀行か住信SBIネット銀行あたりが使いやすくて良いです。

ドメインやサーバーの登録メルアドは1つにまとめる

次に大事なのが、費用面について。やり方によっては費用の集計もまた一苦労です。いろんなところに情報が分散していると、本来1年間を通じて支払った費用のなかから、漏れが出てきてしまいます。費用の集計漏れは納税額の増加を意味していますので、最終的には手元に残る利益が減ることになります。これは良くないです。

そのために、ドメイン費用やレンタルサーバー費用など、ネット系の費用は1つのメールアドレスで管理するようにしましょう。具体的には、お名前ドットコム(ドメイン)とXサーバー(サーバー)の申込メールアドレスを同じアドレスにするということです。

これ、意外にできていない方が多いです。いろんなブログを複数開設してしまっていて、その都度ブログごとにメールアドレスを使い分けていたり、昔取得したオールドドメインを自動更新にしていて、メールアドレスは不明といったことがあったり。結果的にブログにまつわる登録を複数のメールアドレスで行っているケースがけっこうあります。

しかし、複数のメールアドレスで管理していると、支払情報もバラバラといろんなメールに届きます。一方、1つのメールアドレスで統一していると、当然ながらドメインやサーバーの取得・更新の費用に関する情報は、すべてその1つのメールアドレスに届くことになります。これが大事なのです。1つのメールをチェックすればブログ運営に関するすべての費用を確認することができる、こういう状態が理想的です。

したがって、ドメインやサーバーに限らず、例えばはてなブログPROや、Adobe PhotoshopPIXTAアカウントなど、ブログ作成に関連して費用発生しそうなものはすべて1つのメールアドレスで登録・管理することをおすすめします。

納税に関するおすすめ書籍

ここで、AdSenseをはじめ、副収入に関する納税に関するおすすめ書籍をいくつかご紹介しておきます。

はじめて確定申告をする方にとっても参考になる内容の本ばかりですので、ぜひまずはどれか1冊だけでも目を通してみてください。これまでモヤモヤとしていた疑問がスッキリ解消できるはずです。

自分ですらすらできる確定申告の書き方

2020年(令和2年)の確定申告方法に対応した最新の書籍です。実務手続きの書類記載方法も詳しく解説してあり、この1冊に目を通すだけで納税や確定申告の基本をしっかり抑えることができます。


自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和2年3月16日締切分

Q&A・対話式 超わかりやすいネットで稼ぐ人の確定申告

ネット副業で収入がある方、これからブログやアフィリエイトで収入を得たいという方におすすめなのが、こちら。「超わかやすい」というタイトルの通り、Q&A形式でとても読みやすい1冊です。まずは1〜2時間でざっと流し読みをして、気になる点をネットで補完的に調べていく、という使い方をおすすめします。


Q&A・対話式 超わかりやすいネットで稼ぐ人の確定申告

駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A

ネット収益だけで生計を立てていこうと考えている方にはこちらがおすすめ。フリーランスの方ならではの疑問や困りごとに対してわかりやすく解説してくれます。税金や確定申告についてはもちろん、社会保険などについても解説してくれています。


令和版 駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A

いちばんわかりやすい確定申告の書き方 

こちらも2020年(令和2年)の確定申告方法に対応した書籍です。ビジネス書に定評のあるダイヤモンド社からの発刊です。


いちばんわかりやすい確定申告の書き方 令和2年3月16日締切分

以上が私からのおすすめ書籍です。

いきなり小難しい専門書を読むのではなく、まずはこれらの書籍1冊のみを購入して基本を抑えることをおすすめします。また、書籍の出版時期は必ずチェックしてください。

最新の税制改正の内容が反映されていることを考えると、お金や税金に関する書籍は、最低でも直近1〜2年以内に出版されたものを選ぶべきです。(上記でご紹介している参考書籍も出版時期が新しいもののみを厳選しています)

 

「税金や確定申告ってなんだか難しそう。。」「税金についてモヤモヤした漠然とした知識しかない。。」といった方は、ぜひご一読を!

何事もまずは第一歩を踏み出すことが大切です。

まとめ

ここまでAdSenseの収入に対する納税や確定申告について見てきました。最後に重要なポイントをまとめておきます。

  1. どんな金額でも収入があったら申告が必要
  2. 20万円とは所得額(収入 − 経費)のこと
  3. AdSenseの集計範囲に注意する
  4. 経費と認められる範囲は曖昧
  5. 必要書類を把握する
  6. 経費の記録と領収書は必ず保管
  7. ネットバンキングでAdSense専用口座を持つ
  8. アカウント登録は1つのメルアドにまとめる
  9. まずは書籍を1冊読んで基本を抑える

確定申告や納税の手続きは、はじめてのうちはひと苦労です。しかし、せっかくAdSenseで収益が上がってきたのに、納税を怠って「脱税」となっては元も子もありません。冒頭にも書いたように、最も危険なのは「なんとなくよくわからないから放っておいた」という状況です。

わからないことがあれば税務署や専門家に相談し、適切な申告と納税を行うようにしましょう。